「アスランはさ、真面目にとらえすぎなんだよ。多分」
「そうか・・・?」
「笑って流せばいいのに、そうしないでしょ」
「だって、失礼じゃないか?そんな軽く扱っていいものじゃないだろう、こういう事は」
「うん、まぁそりゃあそうなんだけど。敢えて事態を複雑にしていく様が何だかね」
「じゃあ、ならどうするんだ?こういう場合」
「うん?気の知れた相手なら『冗談にしちゃ面白いね』、顔見知り程度なら『そういうのは本命に
言った方がいいよ?』かな」
「・・・・・・・・。」
「何故黙る」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、やっぱり俺はそういう風には・・・」
「・・・・だから真面目だって言うんだよ」
受け流さないと、相手に期待させちゃうって事。そこまで視野に入れてるのかねぇ?
(あなたの事が好きなんです)
‡‡‡
「手伝え」
「・・・開口一番それですかい。せめて主語とか動詞とかさ、入れようよ」
「ふん、主旨が伝わってるならそれで良いだろう」
「イザーク、私は現在一般市民。思いっきり庶民。平民。政府と無関係」
「それだけの能力があるのに使わないのは怠けてる証拠だ。いいから来い」
「やだ。やる気しない。つーか私じゃなくても他にいくらだって人材あるでしょ。ザフトから助っ
人頼めば?」
「信用できるヤツは限られている。重要書類やデータをただの一般兵に見せる気か?」
「その重要な事をただの一般人に手伝わせようとしてるアンタは何なのさ」
「つべこべ言うな。いいから来い。手伝えるだけ光栄と思え」
「私にとっちゃいらん光栄だっつーの。つーかこの手は何?連行する気満々?」
「当然だ。逃げられてはたまらないからな。部屋から一日で出られると思うなよ?」
「・・・・・(うっわぁ、目が本気だ)」
プラント上層部は、かなり人手が不足しているらしい。
(要は信用してるって事)
‡‡‡
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・笑いたきゃ笑えばいいだろッ」
「っあはははははははは!!ディアッカに緑って・・・っ!くくく、は、腹がよじれる・・・っ」
「あー!だから嫌だったんだお前に会うのは・・・!」
「くっくっく・・・っ。いや、でも慣れればその内・・・」
「・・・見ても笑わねぇってか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・多分ね」
「嘘付け!笑う気ありまくりだろーがお前!」
「だって、面白いのに笑わないなんて損じゃない?楽しめる時は思いっきり楽しまなきゃ」
「・・・・・・・・。」
「キラとかアスランが今のディアッカ見たら、どんな反応するんだろーね」
声には出さないけど、肩振るわせて笑いを堪えてそうだ。
(見慣れない制服の色)(機体といい、もういっそ自分のイメージカラーにしちゃいなよ!)
‡‡‡
「ニコルはやっぱピアノ上手いね。CDとか出せば?」
「ありがとうございます。CDですか・・・・でも僕のなんか、とても人に聞かせられるようなものじ
ゃ無いですよ」
「そう?勿体ないな、こんなに綺麗なのに」
「綺麗、ですか?」
「うん。音がね、邪魔にならない程度に耳に入ってくるから。あとはまぁ、弾いてるのがニコルだ
しね」
「僕は綺麗なんかじゃないですよ。綺麗っていうならさんの方がずっと綺麗です」
「・・・・・・・・・ニコル、脳みそ大丈夫?あ、いい眼科紹介するよ?一度検査を受けた方が」
「何でですか。僕は至って健康体ですし目も悪くありませんよ」
「自覚症状が無い病気ほど怖いものは無いって知ってた?」
「ああ、知らない内にどんどん病状が悪化するから・・・って、話逸らそうとしてませんか?」
「そうだね、誰から見てもニコルはピアノ上手だよ」
そして話は冒頭へ。
(この曲を捧げるのは貴女だけでイイんです)
‡‡‡
「キラ、機械いじりは得意だけど家事は苦手でしょ」
「・・・・・・うん」
「そんなに落ち込まなくても。確かにこの部屋の惨状はすごいけど、そう悲観的になる程でもない
よ」
「ごめん。一度何かをやり出すと熱中して、止まらなくなるんだ・・・」
「ああ、あるよねそういうの。でもってキラの場合、そこに意地が加わると」
「うっ・・・・・・」
「何が何でも完璧に、納得がいくまでトコトン」
「・・・・・・だって」
「うん、それが悪い事じゃないのはね、知ってる。でもね、ものには限度っていうのがあるわけで
して」
「・・・・・・・。」
「取り敢えず、キッチンを人が使える状態までに片づけようか」
「・・・手伝って、くれる?情けないけど、僕一人だけでこれはちょっと・・・」
「元からそのつもりだったから。じゃ、キラはそっちよろしくね」
ハッキングは超一流。でも料理の腕はそうじゃないみたいです。
(キッチン大戦争)
‡‡‡
「、頼む!この通りだ!」
「カガリ・・・別に私じゃなくても。他にも人はいっぱいいるんだし」
「駄目だ!頼めるのはお前しかいないんだ、他に頼んだらすぐにバレる!」
「そう?元々カガリはお姫様っていうガラじゃない子だし、大丈夫じゃない?」
「それを言ったらお前だっていいはずだろ!?お前だってお姫様ってわけじゃないんだし」
「そりゃそうだけど、適材適所っていうものがあると思う」
「お前なら大丈夫だ。キラ達にはバレるかもしれないが、他は分からないと思うぞ」
「まぁ、大して知ってるわけじゃないしね、私を」
「だろう?だから頼む!一度だけでいいから!」
「・・・ホントに一回だけ?」
「この際だから一度だけでも構わない!」
「はぁ・・・・・・・・・いいよ。やってあげる」
「本当か!?助かった。ありがとうな、!」
「今回だけだからね」
お姫様はお忍びすら満足に出来ないみたいだし。
(たまには羽を休めてもバチは当たらない)
‡‡‡
「それ、まだ持っててくれたんだね、ラクス」
「ええ、他ならぬ貴女がわたくしに下さったものですから」
「懐かしいな。ラクスがアークエンジェルに拾われた時にあげたんだっけ」
「はい。あの時は貴女がが魔法使いのように見えしたわ」
「あはは、こんな魔法使いがいたら世の子供たちは失望するよ?」
「そうでしょうか?わたくしはこれを頂いた時、笑われるかもしれませんが、かなり興奮してまし
たのよ。まるで絵本に出てくる魔法使いだと、胸が高鳴りました」
「そうかもね。この世界の理から外れてるものだし、こんなの現実にある方がおかしな事だよねぇ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・何でもないよ。さぁ、戻ろうか」
「」
「キラが呼んでる。行こう」
「・・・・・・・・・・・・・・・そうですね」
繋いだ手に、力がこもった。
(そんな事言わないで)(あなたが消えてしまいそう)
(05/08/08)
(07/03/)再録