日記ログ in電O(でんおー)


ザァ、と白い砂のようなものが袖口から大量に溢れ出る。 何だ、と眉を潜めると、だんだんと砂が形を取り始め、何だかよく分からないが人のような輪郭を 持った。 何だろう? (今人視点) 過去の人間の姿を目にし、格好のカモだ、とばかりに愉悦が浮かぶ。 さっさと飛びたくて、性急に口を開いた。 「お前の願いを言え、お前の願いをひとつだけ叶えてやろう」 その時までは上機嫌だった。確かに、そうだった。 その人間が笑みを浮かべるまでは。 「・・・・・・・・っ!!」 「願い?」 見下すように、いや、実際見下しているのだろう。 男は嗤った。それだけなのに、後悔がどっと押し寄せる。 選ぶ人間を間違えた。そう理解したが、もう遅い。一度憑いてしまえば、特異点でもない限り離れ る事は容易ではない。 「お前が、俺の願いを叶える?」 愚か者が。 その目は、その口は、その表情は、言外の言葉も正確に伝えてくる。 お前如きが、俺の願いを?勘違いも甚だしいと。 「そうか。なら、叶えてもらおうか」 ・・・・その代わり、お前がどうなっても知らんがな。 残酷な笑みをたたえて男は嗤う。 問うたのはこちらだというのに、選択を迫られているのは自分だった。 「自分が言った事を、今更覆すなんて真似、しないよな?」 にっこりと。 男は穏やかに微笑むけれど、それは決して安堵を覚える類の笑みではなくて。 「さぁ、叶えてもらおうか」 この先に待つのは、何よりの絶望に違いない。