日記ログ inリボーン(雲雀恭弥の兄としてトリップ)
「俺の弟に何してる?」
その言葉を聞くのが好きだった。
それは、子供じみた優越感なのかも知れないけれど、自分か特別であるかのように感じられたのだ。
「あっあの、あなた、は・・・・・・? ッ、ここは危険です、逃げて下さい!」
草食動物が彼の姿に驚いて、次いで狼狽えるのが分かる。
薄くぼんやりとした視界でそれを捉えた恭弥は、小さく笑った。
彼にそんな言葉は不似合いだ。
(逃げる、なんて)
最も彼に似合わない、不相応な言葉。
「恭弥」
少しだけ柔らかさの混じった声がかかる。
さっきの研ぎ澄まされた声と同じものとは思えないほど、それは柔らかい音を響かせた。
けれど、やはり。
その声には、怒りが含まれていて。
「・・・・・・・・・・兄、さん」
呟けば、少し眉を潜めた只一人の兄。
ゆっくりと自分に近付いてきて、そっと頭に手を乗せた。
そして優しすぎる程に柔らかな力で撫でられる。
「ごめんな、恭弥。手当はもう少しだけ、待っててくれるか?」
こくりと頷く。
すると兄は「いい子だ」と言って表情を一変させた。
・・・・・さながら、エモノを狩る捕食者のように。戦場に立つ将軍のように。
ぞくぞくとする殺気があたりに散らばる。
周囲にいた人間が青ざめたが、恭弥は一人だけ自然体でいた。
いつだって、この兄は自分を守ってくれた。
危険からもそうだが、何より心を、自分の意志を、いつだって、当たり前のように。
「・・・・・・・・・・・・さて」
ゆらりと立ち上がった兄は、もうどこにも穏やかさを宿していない。
「俺の大事な弟に手を出した馬鹿は、どいつだ?」
目を閉じる。
もう、結果は見えている。