日記ログ エア・ギア主in遥か3


また・・・・・・・またこのパターンですか神様。 俺は涙をこっそり流した。だって、だって! 水たまりをジャンプしてよけたら次の瞬間目の前 が森っていうか大自然ってどゆコト!? はぁぁぁぁぁぁぁー・・・・・・・もぅ、勘弁してくれよ。 ねぇ、何で俺の目の前に剣があるの? ねぇ、何で俺の目の前に鎧を着た骸骨がいるの?(しかも複数体) ねぇ、何で俺は目の前のそいつらに敵意を向けられてるの? 考えてる暇は無かった。だって俺まだ死にたくないよ! 死んじゃったらきっと俺こいつらの仲間 入りするんだどっかのRPGとか映画とか某ゾンビゲームみたいにぃぃぃぃっ!!! 俺は振り上げられた日本刀を(この御時世に日本刀っ!?)後ろに下がってよける。 ハンター世界で鍛えられた俺の動体視力舐めンなよ! いや嘘です。だからそんな、一気に来ないで気持ち悪い何より怖い!!! 俺は地面に突き刺さっていた剣を抜いた。 刀っていう感じじゃなく、両刃の、何て言うか「つるぎ」と呼ぶ類の剣。取り敢えず使えるかどう か分からなかったので一振り。 あ、ヤベ。ついオーラで覆っちゃったから骸骨がほとんど吹っ飛んじゃった。 ま、まぁ結果オーライ。そう、目の前の障害物さえ俺の前から退ければそれで良いんだ! 「大丈夫ですか!?」 ん? どこか切羽詰まった声がしたので振り向くと、・・・・・・・・・うわぁ、何ていうか、派手。 どこか演劇でもあるんですかって聞きたくなるようなド派手な衣装と整った造形をした人たちが駆 け寄ってきた。 え、何。どうして俺に向かって走ってくるの君。そして後ろのお連れの方々は誰。 俺がその劇団☆カラフル派手派手美形揃い(仮)に気を取られている間に、何やら足首に感触がし た。感覚で圧力が掛けられたのを感じ、見下ろすと・・・・・・。 骸骨の手が俺の、 俺の足首をがっしりと掴んでイッヤァァァァァァァ!!!!!! 俺は混乱して手に持っていた剣をそいつの腕目掛けて振り下ろした。ザク、と剣が手首ごと地面に 突き刺さる。 感触がっ! 感触が足首に残ってる・・・ッ!! ぞぞぞぞっとした悪寒が背中を這った。昏くて底 の見えない窪んだ目が、まるで俺に向かって抗議しているように見える。 おおお、怒ってますかもしかして!? ごっごめぇぇぇぇーん!!! 謝る、痛い思いをさせた事は悪かった!! ででで、でも、でも、やっぱり感触がっ、ホラーがぁぁぁぁ!!! ね、ねぇこのゾンビ何なの。 聞こうとして振り向くと、劇団☆(以下略)は揃いも揃って目を丸くしていた。 え、放置?俺放置ですか? (その時、劇団☆(以下略)の人たちは) 怨霊の気配に気付いた望美が、八葉と白龍、朔を連れてその場に到着した時だった。 誰か、怨霊に襲われている! 「大丈夫ですか!?」 思わず尋ねて走り寄ると、その人物はゆっくりとこちらを振り返った。 「・・・・・・!!!」 その目が自分の目を射抜いた瞬間、体が金縛りにあったように動かなくなる。 後から駆けつけた仲間も同じようだ。全員が目を見張っている。 大丈夫か、だと? その人物はまるでそう言いたげにフッと口角を吊り上げた後、無造作に腕を一閃した。すると剣の 長さが追いついていない距離にいた怨霊までもが、その腕の一振りで薙ぎ払われ、彼方へ吹っ飛ぶ。 たったの一撃。 そう、たったの一撃で怨霊はそれ以上ぴくりとも動かなくなった。かろうじて動く事が出来ても、 それはカタカタと震えるだけのもの。よくよく見渡すと、あたりは同じような怨霊で溢れていた。 ・・・全て、これをたった一人で成したというのか! 仲間の驚愕が伝わってくる。封印しなければ。全員が全員そう思っても、彼の放つ言いしれぬ威圧 感の前に体が行動する事を拒否する。たまたまその威力から逃れたのだろう、けれどやはりそれな りのダメージを負っているらしい怨霊が、最後の足掻きとばかりに彼の足首を掴んだ。 すると。 彼はうっすらと嗤った。 そう、見下すように、愚かだと嘲笑うかのように。 まるで氷のようだった。情けも慈悲も無い、闇そのものの目がその怨霊を見下ろす。 そして。 「ギギャッ!?」 怨霊の腕に突き刺さった剣は、怨霊もろとも地面に縫いつけてしまった。彼は怨霊の悲鳴さえ耳障 りだというように眉を潜めた。 貴様如きが俺に触れるな。 その目はハッキリとそう語っている。 普段なら反論の思いがよぎるはずなのに、彼がそう思うのはまっとうで正しい事のように思えてし まう。 だが違った。 彼は、哀しそうな目でぐるりと周囲を見渡したのだ。その目は倒れ伏す怨霊たちを映している。人 間であればもう立ち上がる事も出来ないはずなのに、なおも動こうとしている彼らを。 そして望美は確かに聞いた。 彼がぽつりと「すまない」と言葉を紡いだ事を。 懺悔のように。 自分では救えないからと、こうして傷つける事しか出来ないからと、詫びるように。 ああ、彼は本当は優しい心の持ち主なのだ。 なのに彼は、傷つける事でしか怨霊を止められない事に大して、ひどく罪悪感を感じている。 他にどうしようもないと分かっている。だが、やり切れない。割り切る事が出来ない。 彼の目は、言葉は、それを如実に物語っていた。 「お前・・・」 後ろで呆然とした声がする。おそらく九郎さんか将臣くん辺りだろう。 振り返った先で朔が頷いた。 怨霊を、封印しよう。 強く頷く。これ以上、彼を悲しませたくはなかった。誰よりも優しいあの人が、これ以上傷付くの を止めたかった。 自分には、それが出来る。怨霊も、彼も、もう哀しい思いをしなくて済むように。 光が周囲を満たす。 驚いたように彼が振り返ったのが分かった。 以下おまけ。 将臣「なぁ、ちょっとその剣貸してくんねー?」 「ああ」 九郎「いいのか?」 「構わない」 将臣「さーんきゅ・・・うおっ!?」 九郎「どっ、どうした将臣ッ? 大丈夫か?」 将臣「くっ、ぬぁ・・・っ! こっ、これが大丈夫なもんかよ・・・! おい、!」 「何だ」 将臣「ちくしょ、涼しい顔しやがって・・・っ、お前、何つー重たい剣振り回してんだ・・・・・・!」 九郎「そ、そうなのか?」 「いや、別に普通だが」 将臣「嘘付けッ! こんな剣振り回しといて・・・っ、く、重ッ・・・!」 九郎「だ、大丈夫か? 取り敢えず剣を置け将臣!」 (08/04/05)加筆修正